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う事を経験された方や、映画の特撮場面で直ちに模型を使ったなと見破れる動きに気付かれた方も多い事と思います。これは何が原因かというと、模型と実物では時間が違うのです。「象の時間・ねずみの時間」という本が話題になった事がありました。大きな象の20年は、ねずみの1年に相当するというように、大きさに応じた時間があるという面白い説だったように記憶しているのですが正確ではありません。しかし、似たような話が模型船と実船の間にもあるのです。これは、学問的には相似則の話になるのですが、難しい理論は省いてお話しましょう。模型船と実船との旋回運動を考えてみますと、速度の比は長さの比の2乗にした時相似になります。しかるに、旋回する直径の比は長さの比に等しいですから、旋回する時間の比は、直径の比を速度の比で割りますから長さの比の1乗−1/2乗=1/2乗となります。例えば、長さ2メートルの模型船と長さ128メートルの実船が同じ舵角で旋回した時、模型船が1分で一周したとすると、実船はその1281/2=64の1/2乗倍すなわち8倍の時間の8分かかって一周するのです。ですから、この模型船の旋回運動を映画に撮っておいて、再生する時8倍の時間をかけてフィルムをゆっくり回してやれば本物とそっくりに見えるという事になります。こういうおもしろい時間の関係が模型船と実船の運動の間にはあるのです。いかがですか。

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